Ubuntu Weekly Recipe

第450回Raspberry Pi 3にUbuntu 16.04 LTSをインストールする(Ubuntuカーネル編)

今回はRaspberry Pi 3のOSとしてUbuntuをインストールし、GNOME Flashbackを使用する方法を紹介します。

Raspberry Pi 3とUbuntu

Raspberry Pi 3でXubuntu 16.04を動作させる方法は第421回で紹介しました。今回は、その回で説明したARM/RaspberryPiのインストール方法を紹介します[1]⁠。

とはいえ、実のところ第376回をアップデートした記事となります。

インストール ステージ1

何はなくともインストールイメージをARM/RaspberryPiからダウンロードします。Raspberry Pi 3用のイメージをダウンロードしてください。

microSDカードを用意し、母艦のUbuntuで認識させます。今回は例としてダウンロードフォルダーから/dev/sdfとして認識しているmicroSDカードにイメージを転送します。次のコマンドを実行してください。

$ xzcat ubuntu-16.04-preinstalled-server-armhf+rasPi 3.img.xz | sudo dd of=/dev/sdf

完了後、Raspberry Pi 3にmicroSDカードを接続し、電源ケーブルであるMicroUSBケーブルを接続してください。

インストール ステージ2

Raspberry Pi 3から起動するとコンソールログインになります。初期ユーザー名/パスワードはともに"ubuntu"です(引用符は不要⁠⁠。なお、認証後に強制的にパスワードを変更するようになっていますので、初期パスワード(1回)と新しいパスワード(2回)を入力してください。

まずは最初にapt updateを実行します。

$ sudo apt update

続いて最低限必要なパッケージをインストールします。avahi-daemonは必須として、vimユーザーはvimを、Emacsユーザーはemacsをインストールするといいでしょう。vimユーザーと仮定すると、コマンドでは次を実行します。

$ sudo apt install avahi-daemon vim

以後はRaspberry Pi 3で実行してもいいですし、母艦であるUbuntuからsshでログインし実行してもいいですが、今回は後者と仮定します。

avahi-daemonパッケージがインストールされており、Ubuntu PCとRaspberry Pi 3の両方でAvahiデーモンが動作している場合は、次のコマンドでログインできます。

$ ssh [email protected]

ssh接続するメリットのうちの一つが、コピー&ペーストが簡単に行えることですが、次で早速役に立ちます。

パッケージのダウンロード元がマスターサーバーになっているため、とても遅いです。そこで、/etc/apt/sources.listを次のように書き換えてください。

deb http://jp.archive.ubuntu.com/ports/ xenial main restricted universe multiverse
deb-src http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu/ xenial main restricted universe multiverse
    
deb http://jp.archive.ubuntu.com/ports/ xenial-security main restricted universe multiverse
deb-src http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu/ xenial-security main restricted universe multiverse
    
deb http://jp.archive.ubuntu.com/ports/ xenial-updates restricted main multiverse universe
deb-src http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu/ xenial-updates restricted main multiverse universe
    
deb http://jp.archive.ubuntu.com/ports/ xenial-backports restricted main multiverse universe
deb-src http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu/ xenial-backports restricted main multiverse universe

書き換えが終わったら保存します。

続いてPPAを追加します。

$ sudo add-apt-repository ppa:ubuntu-raspi2/ppa

リポジトリを更新し、パッケージをアップデートします。次のコマンドを実行してください。

$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade

最初のコマンドでエラーが出た場合は、sources.listのコピー&ペーストにミスがあった可能性があるので、確認してください。

続いてロケールやタイムゾーンの設定です。次のコマンドを実行してください。

$ sudo locale-gen ja_JP.UTF-8
$ echo "LANG=ja_JP.UTF-8" | sudo tee /etc/default/locale
$ sudo dpkg-reconfigure -f noninteractive locales
$ echo "Asia/Tokyo" | sudo tee /etc/timezone
$ sudo dpkg-reconfigure -f noninteractive tzdata

sudo: unable to resolve host ubuntuなど名前解決ができない旨のメッセージが表示される場合は、/etc/hostsを確認してください。2行目に127.0.0.1 ubuntuがあるか確認し、ない場合は追加してください。

日本語キーボードを使用している場合は、/etc/default/keyboardのXKBLAYOUT="us"XKBLAYOUT="jp"に変更し、次のコマンドを実行してください。

$ sudo dpkg-reconfigure -f noninteractive keyboard-configuration

いったんここで再起動します。

いよいよ大量のパッケージをインストールします。次のコマンドを実行してください。

$ sudo apt install ubuntu-desktop gnome-session-flashback xserver-xorg-video-fbturbo dphys-swapfile

インストールには時間がかかるので、しばしお待ちください。ちなみに筆者の環境では136分かかりました。遅いmicroSDカードだったようです。

続いて設定変更を行います。まずは/etc/X11/xorg.confを以下のように変更してください。このファイルはデフォルトでは存在しないので、作成してください。

Section "Device"
    Identifier "Raspberry Pi FBDEV"
    Driver "fbturbo"
    Option "fbdev" "/dev/fb0"
    Option "SwapbuffersWait" "true"
EndSection

ネットワークの設定をNetwork Managerで管理する場合は、/etc/network/interfacesの最下行を次のように変更し、コメントアウトしてください。

# Source interfaces
# Please check /etc/network/interfaces.d before changing this file
# as interfaces may have been defined in /etc/network/interfaces.d
# See LP: #1262951
# source /etc/network/interfaces.d/*.cfg

ここまで設定が完了したら再起動してください。いよいよGUIでログインします。

ログイン

ログイン時にユーザー名(Ubuntu)の右にあるUbuntuロゴをクリックするとセッションが選択できるので、[GNOME Flashback (Metacity)]を選択します。あとはパスワードを入力すればログインできます。

日本語関連パッケージのインストール

今回は日本語関連パッケージのインストールはGUIで行います。⁠システム設定(System Settings)⁠⁠—⁠言語サポート(Language Support)]を起動します。

[The language support is not installed completely]というダイアログが表示されるので、⁠Remind Me Later]をクリックします図1⁠。

Language Supportが起動するので、⁠Install/Remove Languages]をクリックし図2⁠、⁠Japanese]にチェックを入れて図3⁠、⁠Apply]をクリックしてしばらく待ちます。インストールが完了したら再起動します。

Fcitxを使用する場合は、再起動後ログインして言語サポートを起動し、⁠キーボード入力に使うIMシステム(Keyboard input method system)][fcitx]にし、ログアウト後再ログインします。

図1 英語で使用するために必要なパッケージをインストールする意味はないため、⁠Remid Me Later]をクリック
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図2 ⁠Install/Remove Languages]をクリック
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図3 ⁠Japanese]にチェックを入れて[Apply]をクリック
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もし英語キーボードとして認識されている場合は、Fcitxの設定を起動し図4⁠、左下の[+]をクリックして[キーボード-日本語]を追加し図5⁠、一番上に移動します図6⁠。英語キーボードは不要な場合削除します。

図4 Fcitxの設定を起動し、[+]をクリック
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図5 日本語キーボードを選択
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図6 この状態になっていれば設定完了
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タイムゾーン

もしタイムゾーンが[Asia/Tokyo]にならない場合は、次のコマンドを実行してください。

$ sudo dpkg-reconfigure tzdata

[地理的領域][アジア⁠⁠、⁠時間帯][Tokyo]を選択してTabキーを押し、⁠<了解>]に移動したらエンターキーを押します。

無線LAN

無線LANを使用する場合は、次のコマンドを実行してください。使用できる電波帯はその国によってまちまちなので、日本であることを明示しておくのです。

$ echo "JP" > sudo tee /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf

次回予告

次回はUbuntu Pi Flavour MakerのUbuntu Serverイメージに、UbuntuやGNOME Flashbackをインストールする方法を紹介します。

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