Freedesktop.orgは3月16日からGitLabインスタンスをシャットダウンし、もとのホストである「Equinix Metal」からドイツのホスティング企業Hetznerが展開する「Hetzner Cloud」への移行作業を開始する。移行に伴うダウンタイムは最大で1週間ほどで、その間すべてのサービスが停止することになる。
Freedesktop.orgのGitLabインスタンスはこれまで、データセンター事業者のEquinixが提供するベアメタルIaaSサービス「Equinix Metal」を無償クレジットで利用していたが、2026年6月をもってEquinix Metalの提供が終了することとなり(Equinixは顧客向けの書簡で2024年11月に通知)、無償提供を受けていたFreedesktop.orgは2025年4月30日までに新しいホスティング先に移行する必要が生じていた。
EquinixがFreedesktop.orgに提供していたリソースは、GitLabクラスタ実行用サーバとして3台の「AMD EPYC 7402P 24コアサーバ」(c3.medium.x86)および3台の「Intel Xeon Silver 4214 28コアサーバ」(s3.xlarge.x86)、GitLab Runner用に3台の「AMD EPYC 7502P 32コアサーバ」(m3.large.x86)および2台の「Ampere Altra 80コアサーバ」(c3.large.arm64)で、これはEquinixの料金体系で月額約2万4,000ドルに相当する。また、移行にあたってFreedesktop.orgが必要としていたストレージ容量は、400GBを超えるデータベースデータ(ほとんどがCIログ)と100TB近くのS3ストレージとなっており、新しい移行先がなかなか決定しなかった。
この危機に対し、いくつかの企業がホスティングを申し出たとされているが、Freedesktop.orgは2月時点でHetznerを選択、またCDNとしてFastlyを使用することを明らかにしている。なおFreedesktop.orgはEqunix MetalからHetzner CloudへのKubernetesクラスタを移行するにあたってHetznerが提供するCLIツール「Hetzner k3s」を利用し、迅速な移行を目指すとしている。
Freedesktop.orgは2020年までGitLabホスティングをGoogle Cloud上で行っていたが、ホスティング費用の財政的負担が大きかったことからベアメタルホスティングを提供していたスタートアップPacketに移行、その後、PacketがEquinixに買収され、サービス名がEquinix Metalに変わってからも継続して利用していた経緯がある。そのためFreedesktop.orgは今回の移行にあたり「長年に渡ってサポートしてくれたEquinix Metalに感謝したい。彼らはとても親切で寛大だった。急遽退去しなければならないのは残念だが、何事にも終わりは来るものだ」とEquinixへの謝意を表明している。
なお、Freedesktop.orgと同様にEquinix Metalのサポートが終了することを受けて、新たなインフラストラクチャの移行先を求めているプロジェクトにAlpine Linuxがあるが、こちらはまだ移行先に関するアナウンスは行われていない。