Webデザイン標準テキスト

Chapter4 Webサイトのプロトタイプを作成する

4.1 情報アーキテクチャとは? 

「情報アーキテクチャ」(情報設計)と書くと、専門的で具体的に何をすればよいのかイメージしにくいと思うが、簡単に言えば「情報を整理して、わかりやすく伝える」仕事(サイト構造の設計など)である。

情報をわかりやすく伝える

Webデザインは、見栄えを整えるだけではなく、「情報の整理」も重要な作業になっています。建築学で様式や構造のことを「アーキテクチャ」と言いますが、コンピュータの分野でも、コンピュータアーキテクチャやシステムアーキテクチャ、ソフトウェアアーキテクチャなど、同じ用語が使われています。コンピュータの構造や設計思想のことです。さらに、Webデザインにも「情報アーキテクチャ」(IA: Information Architecture)という用語があります。「情報設計」と書いた方がイメージしやすいかもしれません。簡単に言えば、情報を整理してわかりやすく伝えるための表現、考え方のことです。どんなに有益な情報でも、たんに並べて掲載しただけでは伝わりません。情報量が多いほど、伝達性は低下していきます。つまり、欲しい情報を探し出せないという問題が出てくるのです。カテゴリを決めて情報をいくつかのグループに分けたり、優先順位を決めて見せ方を変えるなど、「情報のデザイン」が必要になります。

インフォメーションアーキテクト

情報のデザインは、Webデザインの仕事に含まれ、上位工程で実行されます。大きなプロジェクトの場合は、「インフォメーションアーキテクト」という専門職の人が参加しています。主な仕事は、サイト構造や、ナビゲーションの設計などです。情報を整理してわかりやすく伝えるための仕事ですから、ここを曖昧にすると、いくら見栄えが良く出来上がっても、利用者にとっては使いづらいサイトになってしまう可能性があります。Webサイトの構造を決めて、構築していくことをページビルディングなどと表現されることがありますが、建築のプロセスに近いかもしれません。インフォメーションアーキテクトは、情報の建築家です。情報を整理したり、見やすく編集する作業は、デザインでは当たり前のことですが、複雑・高度化してくると、やはり専門家が必要になります。サイトの構造を考え、設計図を描き、全体を俯瞰しながら、視覚表現のプロセスにつなげていく。情報設計は軽視できない重要な作業です。

POINT

・情報アーキテクチャは、情報を整理してわかりやすく伝えるための表現、考え方のこと
・どんなに有益な情報でも、たんに並べて表示しただけでは伝わらない
・サイトの構造を考え、設計図を描き、全体を俯瞰しながら視覚表現のプロセスにつなげる

Copyright © 2010-2011 Youji Sakai