組込みソフトウェア技術者試験とは?
前回のおさらいですが、組込みソフトウェア技術者試験クラス2(クラス2試験と呼びます)とは、(社)組込みシステム技術協会(JASA)が2006年11月よりスタートさせた、組込みシステム業界初の、いえ世界初の組込みソフトウェア技術者試験です。ものづくり立国を目指す日本ならではの組込み技術者試験制度で、イーテック(ETEC:Embedded Technology Engineer Certification)と呼びます。
クラス2試験は組込みエントリ技術者を対象としていますが、スコア方式(点数)ですから未経験者から開発経験が10年選手くらいまで対象となります(図1)。
クラス2試験に見る組込み企業とは?
受験者の企業情報を見ると、(受験者企業情報は公開することはできませんが)組込み開発を手がけている企業が最も多いです。試験主催団体のJASAに所属している会社も組込みシステム系企業が大半です。松下電器産業、NECエレクトロニクス、NTTコムウェア、日立アドバンストデジタルといった大手企業やイーソル、コアといった組込みソリューションベンダも参加しています。
組込み技術者には組込みソフトウェア技術者試験で
クラス2試験を採用した企業の事例
大手メーカー系組込みシステム開発会社では昇格基準としてこの試験を採用しています。当然、その会社の組込み技術者は全員が対象になりますので、会社が事前にまとめて受験チケットを購入して社員に配布し、一定期間内に受験するしくみです。今までは情報処理技術者試験を代用していましたが、組込み技術者には組込み技術者向けの試験を採用し、より明確な基準としたわけです。
またある会社では、200以上の試験制度(国家試験や中立公正な業界団体の試験、ベンダ試験など)を社内の技術者育成支援制度に採用しています。2007年2月からはクラス2試験が技術者育成支援制度に採用され、受験者に受験料と奨励一時金を提供しています。その企業では1,000人以上いる組込み技術者に対して、「グレードA」取得者のみ支給という高い目標の提示をし、受験者への技術力向上の喚起を促しています。
本当に組込み技術者の人材育成を考えていますか?
JASAとしては、技術者を応援する姿勢・しくみとして、試験を活用した評価制度の整備をお願いしています(図2)。一方で、技術者は日々忙しく、開発と納期に追われ、勉強する時間さえ十分に取れない場合も多いのではないでしょうか。
しかしながら、知識不足であればコミュニケーションギャップが発生しますし、問題解決能力にも大きな支障が生まれるでしょう。組込みソフトウェア技術者試験が提示する「組込み技術者が最低限持っていてほしい技術知識」には、技術者が業務上必要となる知識のみならず、上下間、部署間のコミュニケーションの基本となる知識が含まれています。
試験制度を活用することで得られる企業のメリットも多いはずです。
- 企業の人的資産のアピール
- 公的発注の指標となる
- 技術者採用の資料となる
- 共通指標によるチーム編成の資料となる
- 社内評価制度の補完資料となる
- 技術者研修の成果として使う
- 技術スキルの到達レベルの目標を示す資料となる
- 上下間のコミュニケーションギャップ解消
会社としても個人任せではなく、応援する「しくみ」を提供することで、技術者は安心して、自己研鑽できますし、業務の励みになるのではないでしょうか。その取り組みが重要であり、本当の技術者育成・教育支援の1つだと考えています。
トライアル受験をしませんか?
「JASA組込みソフトウェア技術者試験クラス2」の採用を検討している企業で、試験評価を希望される場合、トライアル受験をお勧めします。企業での採用方法、試験の使い方、受験結果分析支援、受験料特別割引など、お気軽にETEC運営事務局([email protected])までお問合せください。