問題地図シリーズ感情の問題地図
「で、どう整える?」ストレスだらけ、モヤモヤばかりの仕事の心理

書籍の概要

この本の概要

累計17万部突破の問題地図シリーズ最新作!

「上司や同僚,お客さんにとにかくイライラしてしまう。そして,そんな自分が嫌!」
「世の中の変化についていけてない感じがして,不安」
「期限に追われてばかりで,ちっとも気持ちが休まらない」
「自分の時間がとれなくて,いつも気持ちに余裕がない」
「まわりの目や評価が気になって,自分らしくふるまえない」
「一生懸命やっているのに,空回りしているみたい」
「うまくやれない・結果を出せない自分がもどかしい」
「ときどき,なんだかむなしくなる」
「なんとか毎日やっているけど,エネルギーが枯渇状態」
「働き方改革で制度やツールが変わるけど,正直そんなにかんたんに切り替えられない」
「そこまでつらいこともないけど,思いっきり笑うこともない」

いろんな仕事を1人でこなさなければならなくなり,プレッシャーが増加して時間のゆとりが減ったり,達成感を得にくかったりする今,どうすれば自分を守れるのか?

かつてなくストレスフルな仕事環境で感情とうまく付き合う方法を,学術研究と個人・企業両方の臨床経験のどちらにも強い著者が体系化。マインドフルネスなど最近の動向もふまえつつ,専門家でないとあまり知らないけどだれでも実践できる対処法を教えます。

【巻頭付録】感情の問題 全体マップ

こんな方におすすめ

  • ストレスの多い職場で働く方

著者の一言

はじめに

「現代はストレス社会」

そんな言葉は,もう聞き飽きたかもしれません。けれど,厚生労働省の調査によると,仕事をしていて強いストレスを感じる人の割合は,約6割! ここ20年,ずっと横ばい状態です。「ストレス社会だ!」と指摘だけはされるけれど,ストレスを感じる人の割合はいっこうに減っていないのです。
あなたも,次のようなモヤモヤ,感じたことはありませんか?

「まわりの目や評価が気になって,自分らしくふるまえない」
「世の中の変化についていけてない感じがして,不安」
「期限に追われてばかりで,ちっとも気持ちが休まらない」
「一生懸命やっているのに,空回りしているみたい」
「ときどき,なんだかむなしくなる」
「なんとか毎日やっているけど,エネルギーが枯渇状態」
「上司や同僚,顧客にとにかくイライラしてしまう。そして,そんな自分が嫌!」
「うまくやれない・結果を出せない自分がもどかしい」
「働き方改革で制度やツールが変わるけど,正直そんなにかんたんに切り替えられない」
「そこまでつらいこともないけど,思いっきり笑うこともない」
「自分の時間がとれなくて,いつも気持ちに余裕がない」

などなど。

昔は,企画を考える人,資料を作る人,プレゼンする人,と役割分担していたことも,IT化が進んで,すべて1人でこなさなきゃいけなくなって。どこかでつまずいたら,それだけで「仕事ができない人」扱い。
成果ばかり求められて,プレッシャーは増えていき……時間のゆとりなんて全然ないのに,働き方改革で「早く帰れ!」なんて言われてしまう。
「新しいビルが建った」「新商品が発売された」そんな形に残る仕事はどんどん減って,達成感も感じにくい。まるで,終点のない電車に乗ってるみたい。
日々,モヤモヤばかりが増えていく。仕事へのやる気も失くなっていくみたい……。

そんな悪循環になっていませんか?
私はストレスマネジメントに関する講演や研修をして,のべ3000人以上の働く人の声を聴いてきました。その中で,よく耳にした悩みがこれ。

「このモヤモヤがずっと続くかと思うと嫌になる。でも,だれに相談すればいいかも,どうしたらいいかもわからない!」

昔に比べて,メンタルヘルスの対策に取り組む企業は増えています。2015年には労働安全衛生法が改正されて,ストレスチェック制度が始まりました。けれど,「働く人が,すっきりイキイキ働けている!」というにはほど遠い状態。
対策する企業は増えたのに,なんでストレス,モヤモヤが減らないのか?
それは,企業がおこなうメンタルヘルス対策が,不調になった人や休職が必要になった病気ゾーンの人向け中心だから。私たちが,ストレスフルな仕事環境の中で働き続けていくには,自分で自分を守る工夫が必要です。
では,どうすれば自分を守れるのか?
そのキーワードは「感情」! 私はそう考えています。冒頭で紹介したモヤモヤの裏には,不安や恐怖,かなしみ,落ち込み,怒りやイライラ,といった感情が隠れています。
今の世の中,電子機器を買えばトリセツがついてきますし,Excelなどはどう使えばいいかを教えてくれる親切でわかりやすいマニュアル本がちゃんとあります。一方で,感情のトリセツは……? たしかに感情についての本もありますが,それらを見てみると「感情をコントロールする」「感情的にならないために」「ストレスとなる感情を解消する」といったものがほとんど。まるで,感情は悪者扱い。
たしかに,イライラせずにすむならそのほうがいいし,「かなしい気持ちでハッピーだ!」という人はいません。「怒りをコントロールする」「悲しみをなかったことにする」そんな方法を知りたくなるのも無理はありません。でも! 声を大にして言いたい。

「感情は悪くない!!」

心理学の研究で,感情は,私たちが生き延びるために必要で大事な機能だということがわかっています。感情は,味方につければ,私たちのベストパートナーになってくれるのです。ひとたび感情の正体を知ってみると,私たちがどんな状況にいて,どう行動するのがベストかを教えてくれる,頼もしい存在だということに気づくはず。

「感情的にならない」
「感情をなかったことにする」

そんな感情との付き合い方は,もったいない!
本書では,仕事をしていてよく感じる「怒り」「悲しみ」「落ち込み」「不安」の4つの感情を,「味方につける」ことでストレスから自分を守る方法をお伝えします。
だれかを味方につけるには,相手をよく知ることから。これは,感情でも同じです。各章では,それぞれの感情がもつ“意味”や“機能“を紹介しています。そして,それとセットで,一般には広く知られていないけれど,心理学の世界では効果があると認められている対処法を,かんたんにできるワークの形で載せました。
さらにさらに! 感情にまつわる「モヤモヤ」を地図にしました。モヤモヤしたときに,地図を見て,そのときの自分と近いモヤモヤをたどっていくと,どの感情について知ればいいかがわかるようになっています。
1冊手元に置いていただいて,モヤモヤしたときに,ぱらぱらっとめくってスッキリしてもらえるような本を目指しました。ときには,自分に怒りを向けてくる相手や,落ち込んでいる同僚のことを理解するヒントにもなるかもしれません。
そこまで使いこなせるようになったら,あなたも立派な感情上級者! モヤモヤだらけの仕事社会で,自分を守るヒントを,感情からもらいにいきましょう!

目次

はじめに 「感情的にならない」「感情をなかったことにする」そんな感情との付き合い方は,もったいない!

1丁目 怒り

  • 「嫌いな感情ランキング」の第1位は怒り?
  • 怒りは「大事なものが傷つけられている」というサイン
  • この2つはNG! 「攻撃」は関係性に,「我慢」は健康に悪
  • 怒りを味方につけるために知っておきたい2つの基本
  • まずは,とにもかくにもクールダウン! そのための5つの方法
  • 大事なものを守るための行動を決めていく4つのステップ
  • 関係性を壊すのではなく「つくる」ように怒りを表現する ~DESC法
  • 「~すべき」という考え方から自分の怒りのツボを知る
  • コラム 「セルフ・コンパッション」で強い感情の裏にある痛みや傷を和らげる

2丁目 悲しみ

  • 悲しいとき,人は自分の置かれた状況を俯瞰しにくくなる
  • 「大事な何かが失われている」という原因に気づけば,対処しやすくなる
  • 取り戻せるなら,行動を!
  • たどるであろう「さようなら」のプロセスをあらかじめ知っておく
  • 「涙を流す」のはじつは悲しみを癒やすのに効果的
  • 「失ったこと」に意味を見出す5つの方法
  • コラム 感情や気持ちにピンとこない場合は,別のものさしを

3丁目 落ち込み

  • 思うようにいかなかったこと以外のことにも自信がなくなり,抜け出せなくなる
  • 落ち込みを長びかせ,ネガティブな影響力を増していく「反すう思考」
  • 「考えないように」「忘れよう」とすればするほど,かえって思い浮かべてしまう
  • 反すう思考に気づくための5つのポイント
  • 反すう思考から距離をとる4つの方法
  • 反すう思考から現実思考へと戻る5つのワーク
  • 「そんなことするなんてありえない!」と思う行動で落ち込みをSTOP
  • 落ち込みから抜け出したら,ワンパターン行動からも回復を
  • 「立ち向かう―一歩引く」「サポートをもらって―1人で」の4カテゴリで,今できることを考えてみる
  • コラム 「セルフ・ナレーション」でマインドフルネスをかんたんに実践

4丁目 不安

  • なぜ,人は不安になるのか?
  • 不安なときに,ついやってしまいがちな3つの行動
  • コラム 「恐怖」と「不安」って違うの?
  • あえて不安をそのまま口に出してみる
  • 「わからない」とひとくくりになっていることを3つに分けて書き出す
  • 不安が自分の能力や性格に関わる場合は,気持ちをだれかに受け止めてもらう
  • 「不安のおかげで,仕事で成果を出せている」と捉えてみる
  • コラム リモートワークでは「妄想」せず,「発信」することが大事

おわりに 感情とうまく付き合うための4つのコツ

著者プロフィール

関屋裕希(せきやゆき)

臨床心理士。博士(心理学)。東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野 客員研究員。
早稲田大学第一文学部心理学専修卒業,筑波大学大学院人間総合科学研究科発達臨床心理学分野博士課程修了後,2012年より現所属にて特任研究員として勤務。2015年より現プロフィール。専門は産業精神保健(職場のメンタルヘルス)であり,おもに認知行動アプローチを活用した,従業員や管理監督者向けのストレスマネジメントプログラムの開発に従事。業種や企業規模を問わず,ストレスマネジメントに関する講演,企業の組織的なストレス対策に関するコンサルティング,執筆活動をおこなっている。中小企業から大手企業,自治体,学会でのシンポジウムなど,これまでの講演・研修,コンサルティングの実績は,3000名以上。
研究活動では,現場で活用しやすい教育プログラムでありながら,エビデンス(科学的根拠)に基づいたアプローチを取り入れている点が特徴。臨床心理士として,精神科クリニック,小中高のスクールカウンセリングでの個人カウンセリング経験があり,現在も,企業内健康管理室にて個人カウンセリングを担当する経験から,組織的視点と個別的視点の両方をもちあわせている。
ホームページ:http://sekiyayuki.strikingly.com/
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