知りたい!サイエンスシリーズ和算からベルヌーイ数へと続く数の世界
~ベル数・スターリング数でも和算家はスゴかった~
2024年4月15日紙版発売
2024年4月15日電子版発売
小林吹代 著
四六判/264ページ
定価1,980円(本体1,800円+税10%)
ISBN 978-4-297-14085-4
書籍の概要
この本の概要
関孝和がベルヌーイ数を発見していたことは特に有名ですが,和算家が大きく貢献した有名な数が他にもあります。関孝和の孫弟子にあたる松永良弼によるベル数や,坂正永によるスターリング数などです。和算家たちはこれらの数を「場合の数」と捉えます。一方,スターリングなど西洋の数学者たちは「代数」と捉えていました。スターリング数は,ベルヌーイ数に関する重要なクラウゼン-フォンシュタウトの定理に欠かせない重要な数でもあります。和算と西洋数学によるそれらの数の捉え方の違いを通して,それらがどのようにしてベルヌーイ数へとつながっていくのか,わかりやすく解説します。題材として「源氏香図」を使います。これは単なるデザインではなく,数学的な意味をもつもので,源氏香52通りはベル数とも呼ばれています。
楽しみながら数学を学ぶことができる1冊です。
こんな方におすすめ
- 和算と西洋数学のつながり,離散数学,組み合わせ数学に興味がある人
- 和算家が関わった有名な数を知りたい人など
本書のサンプル
本書の紙面イメージは次のとおりです。画像をクリックすることで拡大して確認することができます。
目次
- はじめに
1章 源氏香のミステリー
- 日本発の研究とは…
- 「源氏香図」52個に『源氏物語』54帖が…
- 「源氏香」から和算家達が発見した式とは…
- 「二項係数」を並べて「パスカルの三角形」を作ろう
- 「源氏香図」52個を描き上げよう
- 源氏香図のミステリー(1)
- コラム①10種香は何通りか(1)
2章 和算家のスターリング数
- 和算家達のさらなる発見とは…
- 漸化式から「第2種スターリング数の三角形」を作ろう
- 「n=4の香図」を描き上げよう
- 源氏香図のミステリー(2)
- 漸化式から「第1種スターリング数の三角形」を作ろう
- 「置換」を「プレゼント交換」で見てみよう
- 「置換」を「サイクルの個数」で見てみよう
- nを増やして「置換」のサイクルを見ていこう
- コラム②10種香は何通りか(2)
3章 スターリングのスターリング数
- 「二項係数」の関係式を代数の側面から見てみよう
- 二項係数の「一般項」を場合の数から求めよう
- 「べき乗」を「下降階乗」で表そう
- 「べき乗」を「上昇階乗」で表そう
- 第2種スターリング数の三角形で「列」に着目しよう
- 何を展開すると第2種スターリング数が現れるか
- 第2種スターリング数の「一般項」はどうなるか
- 場合の数の「包除原理」から一般項を求めよう
- 「n!」を「二項係数」で表そう
- 第1種スターリング数の三角形で「列」に着目しよう
- 「第1種スターリング数の多項式」を因数分解しよう
- 「上昇階乗」を「べき乗」で表そう
- 「下降階乗」を「べき乗」で表そう
- 「べき乗」→「下降(上昇)階乗」→「べき乗」
- コラム③攪乱順列とモンモール数
4章 ベル数と無限級数
- 無限和を,ベルヌーイ数を用いて表そう
- 無限和を,ベル数を用いて表そう(1)
- ベル数の「母関数」を求めよう
- 無限和を,ベル数を用いて表そう(2)
- exから始め,xをかけて微分していくと…
- xをかけ,それを微分した式とたし算すると…
- 無限級数から第2種スターリング数の「一般項」を…
- 第2種スターリング数の「母関数」を求めよう
- 第1種スターリング数の「母関数」を求めよう
- コラム④ベルヌーイ数と「べき乗和の公式」
5章 スターリングにとっては同一種
- 「パスカルの三角形」をさかのぼろう(1)
- 「マイナス行」を「二項係数」で表そう
- 「マイナス行」に現れた「重複組合せ」とは…
- (1+x)-nの展開に着目しよう(1)
- 「パスカルの三角形」をさかのぼろう(2)
- (1+x)-nの展開に着目しよう(2)
- 「第2種スターリング数の三角形」をさかのぼろう
- 「マイナス行」に現れた「第1種スターリング数」
- 「逆数のべき乗」を表そう(1)
- 「逆数のべき乗」を表そう(2)
- 「第1種スターリング数の三角形」をさかのぼろう
- 「マイナス行」に現れた「第2種スターリング数」
- 「逆数のべき乗」を用いて表そう
- コラム⑤スターリング数の性質
6章 不思議な「クラウゼン−フォンシュタウトの定理」
- 「上昇階乗」を用いる「積和の公式」とは…
- 「べき乗和」を「スターリング数」で表そう
- 「ベルヌーイ数」を「第2種スターリング数」で表そう
- 「クラウゼン−フォンシュタウトの定理」を見ていこう
- 「第2種スターリング数」を素数pで割った「余り」
- 偶数番目のベルヌーイ数B2nの「分母」を見てみよう
- 「整数-1/素数-1/素数-…-1/素数」の「整数」を求めよう
- 「ベルヌーイ数」と「スターリング数」が絡んだ式
- 索引
- 参考文献
- 著者プロフィール
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