60分でわかる! 改正 景品表示法 超入門

著者の一言

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本書を手にとった方は景品表示法に関心がある,という方でしょう。

景品表示法は,企業のリスクマネジメントの観点から,年々重要性を増しています。

景品表示法に違反した企業には,消費者庁をはじめとする景品表示法執行当局から行政処分が行われることとなりますが,景品表示法に違反したことによる事実上の悪影響はそれにとどまりません。まず,景品表示法に違反したことが大々的に報道され,違反した企業の信用が失墜する場合があります。また,違反の対象となった商品・サービスを購入した消費者などからの返金請求がなされることはもとより,取引先からの取引停止・返品・損害賠償請求がなされたり,金融機関から融資の引き上げがなされたりする事例もあります。自社の主力商品・サービスの表示が景品表示法に違反するものであったということであれば,株価が下落したり,ベンチャー企業であれば,株式の上場(IPO)の審査に影響を与え,上場ができなくなったりすることなどがある他,経営陣が株主から訴えられる事例などもあるところです。

そればかりか,近年,消費者庁による景品表示法の執行体制は強化されています。特に現代社会においてはスマートフォン・SNSが普及したことにより,消費者の声が世間に届きやすくなった上,行政機関や報道機関への通報を行いやすくする法改正も相まって,企業の違法・不当な行為が社会に露見しやすい状況でもあります。この意味において,景品表示法の違反リスクはインパクトが大きい上,そのリスクが顕在する可能性も見過ごせないものとなっています。

このため,企業のリスクマネジメントとして,景品表示法のガバナンスを構築することが求められています。特に景品表示法のガバナンスを有効に築くためには,経営層のコミットはもちろんのこと,日頃広告を企画し,作成する営業現場の方における景品表示法の知識の習得が必要となります。

本書は,そのような経営層・現場の方が景品表示法の基礎を理解いただく入門となることを目的としています。本書の執筆陣は,消費者庁において景品表示法の法改正や法執行を担当した弁護士を含む,広告規制の最先端の実務を扱う池田・染谷法律事務所に所属する弁護士です。景品表示法の基礎や実務を平易な言葉や図を用いるとともに,細かい法解釈の解説を省き,景品表示法の理解の幹が身につくことを意識して執筆いたしました。平坦な法律の解説にならぬよう,実際の広告やキャンペーンを念頭にしたトピックを記載しています。

本書は景品表示法の基本的枠組みをトピックごとに説明するものです。はじめから通読しても,関心があるトピックから読んでもわかるようになっています。本書によって景品表示法をより学びたいと思われた方には,私が行っている景品表示法の学び方をP.146に記載しましたので一つの参考としてご参照ください。

本書が景品表示法の入門としての目的を果たし,少しでも読者の皆様のお役に立つことを願います。

編著者を代表して 染谷 隆明

著者プロフィール

池田・染谷法律事務所(いけだそめやほうりつじむしょ)

2018年の事務所設立以降,公正取引委員会・消費者庁などの規制官庁や,社内弁護士,裁判官・検察官としての多彩な経験を持つ多くの弁護士が,独禁法・消費者法・情報法を軸とし,クライアントに価値あるリーガルサービスを提供するブティック型法律事務所。

先進的なビジネスにおける法律相談のサービス提供に加え,法改正対応(独禁法/景表法他)など,企業ニーズの高い法的サービスをパッケージ化した各種サービスを用意している。また,随時セミナーを開催し,さまざまな形で独禁法・消費者法・情報法の最新トピックスを発信している。

https://www.ikedasomeya.com/


染谷隆明(そめやたかあき)

池田・染谷法律事務所 代表弁護士(63期)

専修大学法科大学院法務研究科修了。2014~16年 消費者庁表示対策課等に勤務。2018年池田・染谷法律事務所設立。2023年~国民生活センター商品テスト分析・評価委員会専門委員。

主要著作:『基本講義消費者法第5版』(共著,日本評論社,2022年),『詳説景品表示法の課徴金制度』(共著,商事法務,2016年),『逐条解説 平成26年11月改正景品表示法』(共著,商事法務,2015年)。