[PMスタートアップのための]はじめてのクラウドコスト管理
――インフラコスト×会計の基本

[表紙][PM&スタートアップのための]はじめてのクラウドコスト管理 ――インフラコスト×会計の基本

紙版発売

A5判/272ページ

定価2,860円(本体2,600円+税10%)

ISBN 978-4-297-14788-4

電子版

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書籍の概要

この本の概要

企業会計の基礎知識を盛り込んだクラウドコスト管理の入門書。

製品/サービスの開発/提供にあたり,会計知識に基づいたコスト管理は欠かせません。しかし,従来の各種IT関連コストと比べて,クラウドサービスのコスト管理は格段に複雑です。

本書では,中小の企業規模をおもに想定し,プロジェクトマネージャー(PM)やスタートアップの方々向けにクラウドサービスのコスト管理の基本事項を丁寧に解説します。メジャーなクラウドサービスAmazon Web Services(AWS), Microsoft Azure, Google Cloudに対応し,オンプレミスとの比較も押さえ,幅広いインフラ/サービスで応用可能な点が特徴です。技術知識および会計知識に関してそれぞれの専門家のレビューを経て1冊にまとめました。広くクラウドにまつわる開発に携わる方々へ向けて,インフラのコスト管理およびコスト削減のための実践的かつ着実に結果につながる知識&ノウハウを凝縮してお届けします。

こんな方におすすめ

  • ITコスト会計の初学者の方々
  • クラウドのインフラコストに関心をお持ちのプロジェクトマネージャーやスタートアップ関係者の方々
  • コスト削減の必要に迫られたインフラ担当者
  • クラウドのコスト増加が気になっている開発者の方々

なお,本書は,以下のような背景を持つ読者の方々を想定しています。

会社の状況

  • これからクラウドを使って新しくサービスを始めようとしている
  • すでにクラウドの利活用がかなり浸透してて,運用コストについても詳しく知りたい
  • 為替変動の影響を受けてコストの見直しを迫られている
  • クラウド移行したが思ったよりコストがかかっている

読者の役割・知識

  • 上記のような会社のIT部門,開発チームのマネージャー,リーダーまたは担当者相当の方
  • AWS, Azure, Google Cloudなどのクラウドサービスを使ったWebアプリケーション開発に関わったことがある,または実際に触った経験がある
  • オンプレミス環境の一般的なWebシステムの構成について理解がある

関連サイトについて

本書著者の津郷 晶也氏によるサポートページ(GitHub)は,次のとおりです。

https://growcite.github.io/gihyo-cloud-cost-management-support/

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はじめに

本書のサンプル

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目次

1章 [ゼロからはじめる]クラウドコスト管理の基礎知識

1.1 [速習]クラウドサービス

  • クラウドサービスの基礎知識
  • クラウドサービスの生い立ち
  • コスト管理に関わるクラウドサービスの特徴
  • 責任共有モデル IaaS/PaaS/SaaSと責任分担の範囲

1.2 システム構築・運用のコスト構造

  • システム構築,運用で必要なコスト
  • オンプレミスとクラウドの「コスト構造」の違い

1.3 クラウド利用にあたってのコスト計画

  • クラウド導入フレームワーク Cloud Adoption Framework
  • 戦略 strategy
  • 計画 plan
  • 準備 ready
  • 導入 adopt

1.4 クラウド利用時のコストに関わる設計原則

  • Well Architected Framework
  • 信頼性
  • パフォーマンス
  • セキュリティ
  • 運用効率化
  • コスト最適化

1.5 なぜ「コスト管理」が必要なのか

  • コスト管理の必要性
  • 社会情勢のコストへの影響 エネルギー,半導体,為替,国際情勢ほか
  • 顧客への価値提供
  • 自社の収益性

1.6 本書で想定する環境について

  • Webシステムの構成
  • 組織構造
  • 本書における「クラウドコスト管理」について

1.7 まとめ

2章 ソフトウェア開発・運用における会計の基本

2.1 会社会計

  • 会社の財務報告 財務三表
  • 法人に発生する税金
  • 法人税
  • 法人事業税
  • 法人住民税
  • 固定資産税
  • 固定資産と減価償却

2.2 インフラ調達費の会計

  • クラウド利用料とオンプレミス資産の会計上の違い
  • クラウドコストの会計上の特性
  • オンプレミス環境の会計上の特性
  • オンプレミスの設備費
  • クラウドの利用料

2.3 ソフトウェア開発費の会計

  • アプリケーションの会計上の違い
  • 自社利用目的のソフトウェア開発/導入費
  • 市場販売目的のソフトウェア開発費用
  • 受注制作のソフトウェア開発費用
  • [参考情報]ソフトウェア開発費の会計

2.4 クラウドサービスの予算計画

  • なぜクラウドサービスの予算計画が難しいのか
  • 予算の算出方法
  • 予算超過の対策

2.5 オンプレミス回帰

  • オンプレミス回帰の背景
  • オンプレミス回帰の動向
  • オンプレミスとクラウドのバランス

2.6 まとめ

3章 コスト最適化の進め方

3.1 コスト管理の全体像

  • コスト管理の構成要素

3.2 コスト管理の担当

  • なぜコスト管理担当を決めるのか
  • 適切な担当者の選定
  • コスト管理担当の役割

3.3 コスト管理の基本プロセス

  • コスト管理プロセスの全体像
  • アプローチ方法の検討
  • コスト削減の実施

3.4 コスト管理プロセスの定着

  • 定期的なレビューの実施
  • 継続的な学習と適応

3.5 まとめ

4章 コスト可視化

4.1 コスト可視化の流れ

  • コスト可視化するための作業

4.2 目標設定

  • 目標設定の観点
  • 目標をどのように決めるか
  • システム視点からの目標設定
  • 目標設定の理想と現実

4.3 アクセス権の整備

  • アカウント集約の必要性
  • クラウドに対するアクセス権
  • サードパーティ製ツールに対するアクセス権

4.4 タグの整備

  • タグの基本
  • タグ付けの目的
  • タグ付けの実践例
  • タグ付けする際の注意点

4.5 予算設定とアラート

  • 予算消化に対する通知設定
  • 通知の種類
  • 通知の設定例
  • 予算超過させないための工夫
  • コスト異常に対する通知設定

4.6 ダッシュボード作成

  • ダッシュボード作成の目的
  • 主要なダッシュボードツール
  • ダッシュボードの設計
  • ダッシュボード作成時の注意点

4.7 まとめ

5章 コスト最適化の計画

5.1 立場によるアプローチ方法の違い

  • コスト最適化アプローチにおける立場の種類
  • 会社全体としてのアプローチ
  • 横断組織としてのアプローチ
  • 各プロジェクトチームとしてのアプローチ

5.2 クラウドのコスト最適化支援ツール

  • 推奨事項ツール

5.3 コスト削減のトレードオフ

  • トレードオフの理解と評価
  • 優先順位の設定

5.4 コスト対効果

  • コスト対効果の評価
  • 効率的なコスト削減戦略
  • コスト削減施策とシステム影響
  • 利用中サービスのコスト占有比率

5.5 まとめ

6章 コンピュートコストの最適化

6.1 リソースの削除

  • 使われていないものを探して消す
  • コンピュートリソースの削除
  • コンピュートリソースの中身の削除
  • 関連リソースの削除

6.2 リソース最適化

  • クラウド時代の仮想マシンスペックの設計
  • 自動シャットダウン
  • システム性能の拡縮方法
  • 自動スケール
  • システム全体のスペックダウン
  • 利用リソースのモデル見直し
  • バーストタイプの利用
  • スポットインスタンスの利用

6.3 PaaS移行

  • IaaS, PaaS, SaaSの違い
  • オンプレミス
  • IaaS
  • PaaS
  • SaaS
  • なぜPaaSに移行するのか
  • PaaSへの移行

6.4 価格見直し

  • 利用価格プランの最適化
  • 予約購入の活用
  • BYOLの利用 持ち込みライセンス

6.5 リアーキテクト

  • さらなるコスト最適化を目指して
  • ライセンスコスト削減 OSS利用
  • リージョン見直し
  • 帯域料金の最適化
  • 新しいサービスへ移行
  • マルチテナント化
  • マルチテナント化の検討ポイント
  • マルチテナント化のメリット・デメリット
  • 仮想マシンのストレージ設計
  • アプリパフォーマンスの改善

6.6 まとめ

7章 ストレージコストの最適化

7.1 クラウドのストレージ

  • クラウドストレージの種類
  • ブロックストレージ
  • オブジェクトストレージ
  • ファイルストレージ

7.2 リソースの削除

  • 使われていないものを探して消す
  • リソース自体の削除
  • 不要リソースの識別
  • 削除時の注意点
  • リソースの中身の削除

7.3 リソース最適化

  • 非効率な利用を見直す
  • ティアの見直し
  • ライフサイクル管理
  • 冗長性の見直し
  • クラウドサービスが提供する冗長化レベル
  • 冗長性見直し時の考慮点

7.4 価格見直し

  • 割引プランの適用
  • ボリュームディスカウント
  • 予約容量

7.5 まとめ

8章 データベースコストの最適化

8.1 クラウドで扱うデータベース

  • クラウド上のデータベースの種類
  • IaaSデータベース
  • PaaSデータベース

8.2 リソースの削除

  • 使われていないものを探して消す
  • リソース自体の削除
  • リソースの中身の削除

8.3 リソース最適化

  • 非効率な利用を見直す
  • バックアップの見直し
  • レプリケーションの見直し
  • システム全体のスペックダウン

8.4 価格見直し

  • 適切な料金プランになるよう見直す
  • 予約購入の活用
  • BYOLの適用

8.5 リアーキテクト

  • さらなるコスト最適化を目指して
  • バイナリデータの吐き出し
  • ライセンスコスト削減 OSS利用
  • OSSデータベース移行のメリット・デメリット
  • 代表的なOSSデータベースと特徴
  • データベース移行の概要
  • 帯域料金の最適化
  • DBストレージの設計
  • IaaSデータベースの利用
  • IaaSデータベース利用時の注意点

8.6 まとめ

9章 運用コストの最適化

9.1 運用で必要となるリソース

  • ログの種類と違い
  • ログデータの保管期間
  • ログ・メトリックの収集で利用できるサービス

9.2 リソースの削除

  • 運用管理に関わる不要リソースの削除
  • 対象の探し方
  • 削除時の注意事項
  • ログ保管ストレージの中身の削除
  • 削減対象の探し方
  • ログの場合
  • メトリックの場合
  • 削減の進め方

9.3 リソース最適化

  • ライフサイクル管理

9.4 価格見直し

  • 価格レベルの見直し

9.5 リアーキテクト

  • 監査ログと運用ログの分離

9.6 まとめ

10章 継続的コスト最適化

10.1 継続的なコスト最適化の重要性

  • なぜ継続的に実施するのか
  • 継続的にコスト最適化を行うため

10.2 コストレビュー

  • コストレビューの実施タイミング
  • コストレビュー実施のポイント 頻度,メンバー
  • コストレビューの観点
  • コスト管理ツール

10.3 情報収集

  • 情報収集の必要性
  • 情報収集の方法

10.4 まとめ

著者プロフィール

津郷晶也(つごうあきなり)

㈱グローサイト代表取締役。クラウドシステムの設計/開発を専門としている。NSSOL(日鉄ソリューションズ)やリクルートなどで10年以上にわたりシステム開発を経験。現在,クラウド活用のコンサルティングを行う一方,セキュリティや生成AIに関する教育コンテンツの作成に従事。