[PM&スタートアップのための]はじめてのクラウドコスト管理 ――インフラコスト×会計の基本

はじめに

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本書は,コスト観点から,クラウド環境を効果的かつ効率的に利用するためのさまざまな手法を解説した書籍です。クラウドコストの管理と最適化に関する基本的な概念から,会社会計におけるクラウドコストの扱われ方,クラウドのコスト最適化に対する考え方や進め方,コストが高いとしばしば言われる代表的なリソースに対するコスト削減施策に至るまで幅広く取り上げています。一定程度クラウド利用を推進している会社や組織,プロジェクトにおいて,コストの見直しを行いたい方々をおもな対象としています。本書は実際の運用経験を元にしており,実際に現場で役立つ具体的な方法も豊富に盛り込みましたので,読者の方々が自社の状況に合わせて応用しやすい内容となっています。

本書では,さまざまなクラウドサービスに対して汎用的に適用できるコスト管理やコスト削減の手法と考え方を取り上げています。特定のクラウドサービスに特化していないため,各種クラウドサービスでも共通する手法として活用できる重要な考え方を抽出したものとなっています。一方,汎用的な考え方だけでは具体的な適用で困るため,実際に適用する状況を考慮して具体的なサービス名についても触れました。本書を通して,クラウド環境の種類に関係なく適用可能なコスト管理やコスト削減の基礎知識を学びつつ,具体的な技術的アプローチも習得することができます。

また,本書では実際にコスト削減施策を実施する際に不可欠な優先順や適用順についての具体的な考え方も事例を入れています。本書で扱うコスト削減手法だけでもかなり多くあるため,実際の現場で適用しようと思うとどの施策から適用するべきなのか迷うこともあるかと思います。そのようなとき参考になるよう,よくある2種類の組織(⁠⁠横断組織」「各プロジェクトチーム⁠⁠)それぞれの立場において,実際の場面で直面するであろうシナリオを通じて,理論だけでなく実践的な考え方を身につけられるよう,コスト削減施策の適用優先順について考え方を紹介しています。

さらに,コスト管理の基礎ともいえる会計に関しても,個人事業主やスタートアップにとっても役立つ情報を提供しています。本書では,クラウドを利活用する際に必要となる予算組みの考え方から,クラウドに限らずソフトウェア開発に関する日常的に役立つ複式簿記に関する知識に至るまでの情報を盛り込みました。これらを活用することで,小規模な組織でもクラウドを怖がらず利用できるようになり,ビジネス成長を支援することが可能になります。

本書は,クラウドのコスト管理に関心のあるすべての読者にとって,貴重な情報源となるよう幅広いテーマを扱いました。本書で扱うクラウド利用におけるコスト管理に関する幅広い知識が,読者の方のビジネス競争力を高めるための一助となりましたら幸いです。

著者 津郷 晶也

著者プロフィール

津郷晶也(つごうあきなり)

㈱グローサイト代表取締役。クラウドシステムの設計/開発を専門としている。NSSOL(日鉄ソリューションズ)やリクルートなどで10年以上にわたりシステム開発を経験。現在,クラウド活用のコンサルティングを行う一方,セキュリティや生成AIに関する教育コンテンツの作成に従事。